きっとくる~♪のは貞子。
やつは井戸からやってくる。
がさごそがさごそと這い上がってくる。
井戸から這い上がってくるシーンを撮るのにスタンバっている貞子を想像すると、なんかクスッときます。
あと井戸の壁を一生懸命登っている様子を考えるとクスッときます。
きませんか?
そうですか。
まあ人生で一度もリングを見たことは無いんですが。
これから先も見ることは無いでしょう。
ええ、非科学的な現象はさけるべきです。
非実在青少年は規制されるべきではないと思いますけれど。
この世の中に溢れる非実在の多いこと!
ゲームの中で素敵に微笑む美少女は非実在!(主にDS)
漫画の中の吸血鬼と波紋は非実在!(だが断る)
小説の中の喋るネズミも非実在!(最終決戦はギャンブル)
テレビの中で素敵な私生活を語るアイドルは非実在!(A●B)
芸人が熱そうにリアクションをとる熱湯風呂も非実在!(脊索動物門鳥綱ダ●ョウ目ダチ●ウ科ダチョ●属倶楽部)
自分のやっていることの正当性を主張する政治家がもつ莫大な貯蓄も非実在!(特にスイス銀行)
大関なんて白星自体が非実在ですよ!(八百長って八百屋が発祥なの?)
恐ろしい、ああ、恐ろしい。
一寸先は闇ではなく、一寸先は非実在!
目に見えないのではなく無かったものにされるのです!
行く末は消滅ですよ!消滅!
目に見えるものが真実でないとわかった今、何を信じて生きていけば良いのかわからなくなる。
私の目の前にはパソコンがありますか?
その横には携帯がありますか?!
今私が飲んでいるのは本当に紅茶なんですか?!?
本当はちょっと薄めのこーひーとかじゃないんですか?!?!
本当と非実在の区別も付けられなくなる!
こんな嘘だらけの世の中で、私は一体何を信じれば良いんですか!
と、路頭をふらふらとあるいていると差し出されるチラシが一枚。
ふと目を上げるとそこには見目麗しい美女が笑顔と共にチラシを差し出しこう語りかけてくる。
「聖教新聞、とりませんか?」
だめです!
それはだめです!
既存宗教ならまだしも、学会という借り名がつけられた新興宗教じゃないですか!
非実在の上にさらに非実在を塗り重ねてどうするんですか!
本末転倒も甚だしいですよ!勘弁してください!
と美女の姿に目を奪われつつもなんとかその場を後にする。
そうしてまた実在と非実在の狭間を渡り歩いていると今度は老紳士が道を塞ぐ。
「ここに書いてある百貨店に行きたいんだけどね、道を教えてくれないかな?」
ああ、なんだ、ただの道案内か、と安心して老紳士がさす目的地の名前を見てみると「大分パルコ」の文字。
非実在じゃないですけどもう実在していませんから!!
申し訳無さげに呟くとしょんぼりとした顔で去っていく老紳士。
ちょっと可愛い。
っは!そんな萌えも非実在ですから!!いい加減にしてください!!
盗んだバイクで走り出す青春を送る訳にも行かず、己の足で走り出す。
坂を下り、路地を曲がり、横断歩道を渡って、歩道橋で世界を眺め、架線下でジュースを飲み、住宅街をひた走り、その先の階段を駆け上がる。
見えて来たのは古びた教会。
ああ、ここが私が求めていた実在する場所なのかもしれない!
古びてはいるが重厚なデザインの扉をおし開くと中には、白いひげを蓄えた白人牧師が一人。
「今日2月14日ハ、聖ウァレンティヌスガ、ローマ皇帝ノ迫害ノモトデ殉教ナサッタ日デース。サア、彼ノタメニ祈リヲ捧ゲマショーウ」
非実在に疑り深くなった私は先日手に入れたスマートフォンでググる。
衝撃の事実。
「ウァレンティヌスの存在自体が怪しくてカトリックでは2月14日は祝日ですらないんですって!?じゃあ一体あなた方は何に対して祈りを捧げているんですかぁ!!」
「ソレハモチローン、我ラガ主デアル、イエス・キリストデース」
それは、それは、言ってはいけないのかもしれないけれど!
「というかそこらへん一帯の神様信仰自体が非実在信仰ですから!!」
と、迂闊に口に出してしまう。
「言ってはならないことを言ってしまいましたね」
周囲に突如現れ黒ずくめの男達に猿ぐつわを噛まされ目隠しをされて連行される。
やめろ、私をどうするんだ!
何処かの名探偵のように薬を飲ませて眼鏡が似合う可愛らしい声の小学生に変身させるつもりか!!
「抵抗するだけ無駄ですよ。あなたには厳しい現実を知ってもらう必要がある」
そう耳元でささやかれ車らしきものにおし込められ何処かへと搬送される。
「さぁ、つきましたよ。ここで現実を学ぶといい」
目隠しと猿ぐつわをほどかれた私が目にしたものは「森永」の二文字。
「ここであなたは働くんです。くる日もくる日も何処かのカップルのために、おいしいチョコレートを作るんですよ」
やめてください!やめてください!
いるかどうかもわからないラブラブカップルのためにチョコレートを作れだなんてそんな酷な話がありますか?!
非実在もここまで来るとすがすがしい!
目に見えない誰かの幸せなんて願えない!
私が作ったチョコレートはもっと違う、何か他の不幸を抱えている人に送られるべきなんです!
それを聞いた黒服が一言。
「ジャア、恵マレナイ子供達ニアゲヨーウ」
ギブミーギブミーチョコレートってGHQですか!!
落ちてないよ!
PR